遺言書の作成方法
遺言書というものは人生で何度も書くものではありません。
なのでいざ自分が遺言書を書くとなると、どのように書けばいいのかがわからなかったり、遺言書の扱いがわからなかったりすることがあるでしょう。
遺言書は正しく書かないと無効になってしまう恐れもあります。
なので遺言書の正しい書き方を知っておくことはとても大事です。
遺言書は相続においてとても重要なものですし、被相続人が最後に意思表示するための方法でもあります。
遺言書がないことで相続人同士の話し合いがこじれて、相続トラブルになってしまうケースも多くあります。
相続に関するトラブルは、年間に10000件以上も起こっています。
なので遺言書を書いておくにこしたことはないのです。
遺言書とはどういうものなのか?
そもそも遺言書というのはどういうものなのか。
自身の財産の相続について誰に何を相続するのかを意思表示するためのものでもありますし、家族や親族に対して感謝の気持ちを伝えるものでもあります。
ですが遺言書においてとても重要なのはやはり相続に関する内容です。
遺言書がある場合、遺言書の内容に基づいて相続が進められるので、遺言書があることはとても重要になってきます。
誰が相続人になるのかは民法で決められています。
相続人は正式には「法定相続人」という呼び方になります。
よく勘違いされるのが、遺書と遺言書が同じものだと思われていることです。
遺書は死ぬ前に自身の気持ちなどを書き残しておくものですが、遺言書は自身の死後に財産をどのように分配するのかを書いておくものなので、まったくの別物です。
例え遺書に財産分与について書かれていたとしても、遺言書として定められるものでなければ効力は発揮しません。
ですが遺言書としての条件を満たしているものであれば、法的効力が発生します。
つまり遺言書は民法の規定に従って作成しなければ、意味がないというわけです。
遺言書の効力について詳しく書いていきますね。
まず1つ目は、財産を誰にどれくらい渡すのかを自由に決めることができます。
遺言書がない場合は被相続人との関係によって相続人の優先順位が決まっており、財産を受け取れる割合も決められています。
ですが遺言書で例えば「妻にすべての財産を渡したい」という旨を書いていれば、その通りに相続が進められます。
2つ目は、相続人の権利をはく奪することができます。
被相続人の配偶者が最優先で相続できますが、その次に優先されるのは被相続人のお子様です。
もしお子様がいない家庭であれば、親族が相続人となります。
もし特定の親族の相続権をはく奪したい場合は、遺言書にその旨を書いておくといいでしょう。
但し、配偶者や子供には遺留分(最低限の財産を相続できる権利。)がありますので、そのような遺言を遺すときは充分な注意が必要です。
3つ目は、隠し子を認知することができます。
隠し子がいた場合に遺言書で認知した場合、そのお子様は被相続人の子供として認知されるため、相続人となります。
なので隠し子も財産を受け取ることができます。
4つ目は、遺言執行者を指定できるということです。
遺言書の内容を正確に執行してもらうために、執行人を自分で指定することができます。
遺言執行人を指定しておくことで、その方が相続を進めていくことができるため、相続がスムーズに行われることになります。
5つ目は、保険金の受取人を変更することができます。
保険金の受取人も遺言書で指定することができるのです。
このように、遺言書が持っている効力はさまざまですが、自身の財産をどのように分配するのかを決められるため、遺言書の存在は大切になってきます。
遺言書には種類が3つある
遺言書とひとことで言っても、実は種類があります。
「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」です。
自筆証書遺言とは、遺言者が1人で遺言を作成する方法です。
今までは、自分ひとりでいつでもどこでも作成することができ、費用もあまりかかりませんでした。
遺言書の文は全部手書きで日付、氏名を書き、押印をして作成します。
自筆証書遺言書は封をして、1度でも開封してしまうと、それだけでその遺言書は無効となったり、また、開封した相続人は過料(罰金)を取られることになる場合もあります。
作成して封をした遺言書は、相続人が家庭裁判所に提出し、検認をしてもらって完成してましが、昨年4月と7月に相続法改正され、自筆証書遺言の作成と保管がしやすくなりました。
今回の改正で
① 2020年4月より自筆証書遺言において、「財産目録」の項は電子書式(パソコン・ワープロ文字)でも承認されることとなりました。(財産目録のページに名前の自署と押印は必要です。)
② 2020年7月より、「自筆証書遺言書保管制度」が施行され法務局(遺言書保管所)にて遺言書を保管してもらえることになりました。
③ 保管された「自筆証書遺言書」は家庭裁判所の検認が不要となりました。
このことにより、自筆証書遺言のデメリットであった「保管場所」の明確化、改ざん・破棄の可能性などが解消されました。
なお、「自筆証書遺言書保管制度」を利用する場合、作成した遺言書は封をせず自身で法務局に出向く必要があります。
なぜ、このような改正がなされたか?
最初に書いたとおり相続のトラブルを少しでも減らすよう必要な人に遺言書を作成してもらうためです。
続いて公正証書遺言とは、2人以上の承認に立ち会ってもらい、遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、公証人が遺言を作成するものです。
公正証書遺言を作成する際は、遺言者本人であること、それを証明する実印と印鑑証明書が必要になります。
そして2人の証人と一緒に公証役場に行く必要があります。
遺言者が亡くなったあとは公証役場で遺言書の内容を確認し、相続を行います。
自筆証書遺言に比べて、公正証書遺言のほうが手間も費用もかかってしまいますが、自分ひとりで遺言書を作成するのは不安があるという方は、公正証書遺言で作成したほうがミスが無くなるのでいいでしょう。
続いて秘密証書遺言とは、遺言者があらかじめ遺言書を作成しておき、証人2人と一緒に公証役場に持っていき、遺言書の存在を保証してもらいます。
遺言者の署名と押印が必要ですが、遺言書の文章は遺言者以外が代筆してもいいですし、パソコンで入力した文章を印刷する形でもいいです。
家庭裁判所での検認が必要になりますが、遺言書は遺言者自身が保管します。
当然、秘密証書遺言も1度でも開封すると無効となってしまうため、開封はしないでください。
秘密証書遺言は遺言書の内容は遺言者しか知りえません。
2人の証人にも、公証人にも遺言書の内容がわからないため、遺言書の内容を秘密にしておくことができます。
このように、遺言書には3つの種類があります。
遺言書の内容について
遺言書の内容はどのように書けばいいのかわからないという方もいるかもしれません。
遺言書は自由に書いていいわけではなく、形式のようなものが決まっています。
インターネットなどで検索すると例文のようなものがいくつも出てくるかと思いますが、どの財産を誰にどれくらい渡すのかということをハッキリと書いておく必要があります。
そのため正しい形式で書いておかないと相続が遺言通りに行えないため、気を付けましょう。
自筆証書遺言は遺言者ひとりで作成することができますが、遺言書の内容にミスがあることも多いため、遺言書を正しく書ける自信がない方は公正証書遺言にしましょう。
公正証書遺言なら公証人と一緒に遺言書の内容を作成することができるため、ミスもなく、また公証人が代筆してくれるため、遺言者の手間も少なくなります。
また遺言書の作成のお手伝いは行政書士も行っております。
なので行政書士の事務所に相談することもオススメですし、実際に行政書士に遺言書の作成を依頼する方は多くいます。
当然、梅林行政書士事務所でも遺言書の作成を行っております。
また当事務所では、遺言書の作成だけではなく、相続に関する手続きを主に行っております。
今までの様々な経験やノウハウを活かし、相続や遺言、各種認可申請書作成、申請代理、家族信託契約の組成と各種委任契約など、相続に関連する一連の対応を中心に行っております。
なので相続に関して不安に感じることや、よくわからないこと、また相続に関するトラブルなどでお困りの方は、お気軽に梅林行政書士事務所にご相談ください。
なお、ご相談はオンラインでも行っております。
このご時世ですので、対面して相談するのは避けたいと考える方も多いでしょう。
そのような方でもオンラインでお気軽にご相談を頂ければと思います。